A limit of mere power@徳島支部
当ブログでは、マリーンズの福浦選手と新庄剛志さんと阪神を応援してます。  荒らしコメがひどいので、画像認証を入れました。 お手数をおかけします・・・
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明日の見えない中で 第72話
~~1月下旬 帝王実業野球部グラウンド~~

順当に甲子園出場も決まって、少しづつ練習に熱が入りだした。

後2回のチャンスのどちらかで優勝してみたいもんだな。
できれば春夏連覇で終わるのが理想だけど、そう上手くはいかないだろうし。

そんなことを考えながら練習しているといると、ブルペンの方で大きな声が聞こえた。

ん?あの声は・・・もしかして友沢?
ちょっと気になるな。

ブルペンに行ってみるか。

~~で、ブルペン~~

ブルペンに着くやいなや、友沢の怒鳴る声が聞こえてきた。

「だから、どうしてスライダーを投げないんだ!」

普段何があっても冷静な友沢が久遠に対して本気で怒っている。

「・・・えと・・・それは・・・・」
久遠は普段とは違う友沢の感じに明らかに動揺してるのが分かる。

何もそこまで言うことは無いだろう、友沢。

そう思いながらも俺は言い出すことが出来なかった。

だが、友沢はさらに久遠を突き放す。

「今投げないでいつ投げるんだ。・・・・分かった、もういい。今日はここまでだ。」

「・・・っく・・・ひっく・・・・」

その言葉に久遠は涙を浮かべながらブルペンから去ってしまった。

「友沢、いったいどうしたんだ!お前らしくないじゃないか!」
見るに見かねて、俺はそう友沢にそう言った。

「水野、あれでいいんだ。久遠の悪い癖が出たからな。」

・・・悪い癖?

悪い癖って何だ?

「お前には話しておいてもいいかな・・・」
友沢は少しためらいながら、口を開く。

「シニアでのことだ。久遠はシニアの中でもいい選手の部類に入っていたんだが、精神的に弱かったんだろう。俺と久遠はチームが違ったから練習がどうだったのかは知らないが、試合ではいつもメッタ打ちにあっていたんだ。そのうち仲間の信頼も無くなっていって投げることに怯えていたんだ。」

久遠にそんな過去があったのか・・・
いつも明るく接してくるからそんなことがあったとは思いもしなかった・・・

友沢は続けて言う。
「久遠はマウンドに上がる前に克服しないといけないことが多い選手なんだ。その弱点は他人ではどうすることも出来ない。自分で一つづつどうにかするしかないからな。」

その言葉を聞いて俺はようやく理解した。
何故普段親身になって指導したりしている久遠にあそこまで強く当たるのかが。

「そういう意図があってのことか。」

友沢は久遠に期待している。
それゆえきつく当たったのだ。

「でも、アイツももう子供じゃない。踏まれても跳ね返ってくるだけの物を持ってるはずだ。」

・・・本当だ。
俺たちの視線の先には久遠がいる。

先程の涙を浮かべていた表情とは違い、覚悟を決めたというか決意をしたような眼差しである。

「友沢さん・・・スミマセンでした!もう一度、投げさせてください!」

「本当に投げられるのか?・・・気の小さいお前に。」
俺はあえて冷たい口調で久遠に問い掛ける。

「・・・・!!」
久遠の決意にみちた顔がみるみる変わっていく。
ちょうど、さっきの友沢にきつく当たられた時のように。

「ここでスライダーが投げられないようじゃ、お前はもう要らないなぁ。」
本来ならこんなことは言うべきではないのかもしれない。

動揺している後輩にさらに追い討ちをかけるような言葉など。

これは一種の賭けだ。
言ってしまったあとでは取り消しも出来ないが、久遠がこれでつぶれてしまわないかとさえ俺は思った。

でも、そんな心配はどうやら無用のようだ。

「・・・・それなら、これを見てから言ってください!」

「・・・いいよ、久遠。ボックスには俺が立とう。友沢、キャッチャー頼むぞ。」

久遠がマウンドに上がる。
友沢がホームベースの後ろで構える。

「僕は・・・僕は!!もう、誰にも要らないなんて言わせない!!!」
ボールを投じる前に、久遠がそう言ったのが分かった。

ボールが久遠の腕から放たれ、唸りを上げて迫ってくる。
そして、手元で鋭く変化し、外へと逃げていく。

バットは出したが当たるはずも無く、なんと友沢の構えるミットさえも弾いた。

「ナイスボール!できるじゃないか!久遠!」
俺は素直にそう言った。

「・・・水野先輩、わざと僕を・・・」

「いい球だったぞ、久遠。だが、まだコントロールが甘い。まだ満足するなよ。」
そうは言うものの、友沢も久遠がつぶれずにこんな球を投げたのが嬉しいようだ。

「は、はい!友沢さん、水野先輩、ありがとうございました!」
そう言って、久遠はブルペンを去っていった。

「しかしまあ、下手な芝居だったな。余計な口出しだぞ、まったく」

「まあ、良いじゃないか。結果オーライ結果オーライ!」

「何が結果オーライだ、まったく・・・」
(でも、あのスライダーは確かに凄かった。俺も早く完成させないとな・・・)



~~そして時間は過ぎ、全体練習終了後~~

さてと、着替えて帰りますか。

「水野、友沢を見なかったか?少しあいつに言っておかなきゃならんことがあってな。」

「友沢ですか?友沢ならまだグラウンドでネット相手にピッチングの練習してるんじゃないですか?友沢に聞いたら、スライダーの練習するって言ってましたし。」

それを聞いて、監督の表情が変わる。
「何?スライダーの練習だと!?何故我輩が禁止したはずのスライダーの練習をやっておるのだ!?」

え?どういうことだ??

事情がさっぱりわからなさそうにしていた俺に監督はその経緯について説明した。

・・・大変だ!
友沢を止めないと。

~~で、グラウンド~~

グラウンドに着くと、思ったとおり、友沢の姿があった。

ボールがネットに突き刺さる音が聞こえてくる。

「・・・監督に水野・・・いったいどうしたんですか?」

友沢が不思議そうに俺たちに聞いてきた。

「友沢!スライダー、いやピッチングの練習は直ちに止めい!さもなくばキサマの肘は壊れてしまうぞ!」
監督が血相を変えて言う。

「そうだぞ!友沢!蛇島先輩がお前に言ってた居残りでのスライダー練習は、お前の肘にダメージを与えようとして企んだ嘘だったんだよ!」
俺も監督に続いて言う。

だが、友沢の口から出た言葉は信じられないものだった。

「・・・もちろん、そんなことは知ってましたよ。」

「知ってたんなら、なんで投げつづけたんだ!」
思わず口調が荒々しくなってしまう。
でも、今はそんなことはどうでもいい。

そこまでして友沢がスライダーの練習をする理由がわからなかった。

「140キロ台後半の速球を投げる投手なら何人でもいる。だから、俺はこのスライダーを完成させて、どうしてもプロに入らなくちゃならないんです。そして、久遠に完璧なスライダーを教えてあげたかったんです。」

そう言うと友沢はまたネットピッチングを始めた。

「だから、もう止めろ!!それ以上投げたら・・・・」

「今の球は・・・まさか友沢・・・もう壊れてしまっているのか・・・・!」

え・・・監督、冗談でしょ?
俺はそう思いたかった。

いつも誰よりも頑張ってきた友沢の肘が壊れるなんて、あってはならないことだと思いたかった。

「そうか・・・もう俺の肘は壊れたんですね・・・だからさっきから全然スライダーが・・・曲が・・らない・・・・」

友沢の顔には絶望の表情が浮かんでいる。

そして、そのまま友沢は意識を失った。

「水野、友沢を病院に連れて行くぞ!我輩は車を回してくるから、友沢を背負って待っておいてくれ!」
そういい残し、監督は駐車場の方へと向かっていった。

このとき、俺の頭に一人の人間が浮かんできた。
この間、交通事故にあいそうになってて、俺が助けた時に凄い治療をしてくれたあの片言の日本語を話す医師のことだ。

たしか、名前は・・・ダイジョーブって言ってたっけ?
友沢の肘を直してくれるのはもう、あの人しかいない。

「水野!準備は出来たか?」
監督が車をグランドのそばまでつけてきてくれた。

「監督、俺の指示する場所に行ってくれますか?そこの人なら友沢を治してくれるかも知れません。」

「分かった、その場所は何処だ?」

~~車に揺られること15分、目的地に到着~~

着いたのは近くの駅のそばにある小さな小屋みたいなところ。

「水野、本当にここでよかったのか?どう見ても診療所には見えないのだが・・・」

この間もらった差出人不明の「下記の場所であなたを待っています~~博士より~~」と書いてあった手紙を信じるしかない。

藁にもすがる思いでドアを開けた。

「ハロー、ジャパニーズボーイ。ナニカゴ用デスカ?」

「用があるのは俺ではなくて、こいつです。先生、こいつの肘を治してくれませんか?」

博士は少し考え込んだ。

「ウーン・・・・イイデショウ。命ノ恩人ダカラ特別デース!ソノ患者ヲベッドニ乗セテクダサーイ」

指示されたとおりにベッドに載せた。

あれ・・・なんだか眠く・・・・・

俺は知らない間に眠りにおちていた。
どれくらい時間がたっただろうか、俺は誰かに起こされた。

「う、うーん・・・と、友沢は!友沢はどうなりました?」

「トテモ難シイ手術デシタ。イチオウ手術ハ成功シマシタガ、モウ投手トシテハ無理デスネ・・・」

そんな・・・
友沢がもう投手としてマウンドに上がれないなんて・・・・残酷過ぎる・・・

手術が終わっても意識が飛んでいる友沢を背負って、また車に乗せる。

監督に経緯を説明して、友沢を数日間休ませることにした。

監督から皆への説明は「友沢がインフルエンザにかかって学校には来られない」ということにしてもらった。
友沢の肘が壊れたなんてチームの皆が知ったら大変なことになるしな。

しかし、これが思いもしない結果を呼ぶことになろうとは分からなかった。

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この記事に対するコメント

リンク先を回る為のコピペですのでご了承を。

ブログ名を変更したので変えてください。あつかましいですが。
お手数をかけて申し訳ありません。
【2007/08/06 21:16】 URL | 王様的庶民 #- [ 編集]


ども~、了解です。

変更しておきますね。
【2007/08/07 13:16】 URL | みそ田楽 #- [ 編集]


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プロフィール

みそ田楽

Author:みそ田楽
期間限定のつもりでしたが、普通に使ってますww

画像はフワ麦さんより頂きました~。

年齢 18
大学1年で工学部所属。

毎日更新は・・・ネタがないとしんどいのです。
時折更新できない時があってもご了承ください。

理系なのに、得意科目は歴史という人間。
苦手科目は・・・数学と理科。


趣味 パワプロ
    野球

好きな食べ物 カレー、らーめん
嫌いな食べ物 漬物(キムチ以外)

好きなプロ野球選手 ロッテの福浦選手。

新庄さんはもちろんですが、もう選手じゃないので・・・
引退したのが残念でなりません。

好きなチーム 阪神、ロッテ、旧近鉄!

基本のーてんき人間ですが、まれに鬱というかなんか・・・なことになったり、ちょっと暴走したりします。

まあ、人間ですし。
そういう記事を書いてたといても暖かく見守ってやってくださいな。

このブログの画像の無断転載は禁止いたします。



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